『アンジェラ・アキ 「HOME」』
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 オリンピックの女子走り高跳びで、アンジェラ・アキみたいな顔をしたベルギーの選手が優勝しましたね。というわけでアンジェラ・アキを取り上げてみようかな、などと思ったりして。


 本作は、今や大スターになってしまった感のあるアンジェラ・アキの、06年のメジャー・デビュー作です。ワタクシ、このブツが大好きでして、06年の個人的ベスト10に選んでおります。本作は彼女のメロディ・メーカーとしての才能が爆発していて、しかもソウルがひしひしと感じられる歌が堪能できる名盤だと思っています。


 この人、日本人っぽくない、決してアップでは見たくない暑苦しい顔をした人ですが(失礼!)、母親がイタリア系アメリカ人とのことです。ちなみに父親が英会話のイオンの代表ですね、どうでもいい話ですが。やはりこのルックスですから、かなりイジメに遭ったんじゃないかと推測します。実際はどうなのか知りませんけど。ライブとかインタビューなんかでは、おかしな関西弁(徳島弁?)を使って明るく笑顔で喋りまくる人ですが、私にはこの人が明るい人にはどうしても見えないんですよね。イジメとかが原因で、根が暗くて陰気で内向的な性格になったのではないかと推測します。それは何故かと言うと、このアルバムで聞ける音楽が、そんな雰囲気を持っているからです。


 このアルバムで聞ける彼女の歌は、どの曲も非常に暗く感じられます。心の中の悲痛な叫び声が聞こえてくるような歌声なんですよね。誰か他の人に助けを求めているような悲痛さではなくて、根が暗い人間が自分自身を責めているような悲痛さであります。そしてそれを癒してくれる場所が「故郷」、即ちアルバム・タイトルになっている「ホーム」なのだと感じられます。彼女の悲痛な心がしっかりと「ホーム」に繋がっていることが聞く者に伝わってくる、だからこそこのアルバムは、暗いながらも極上のソウル・ミュージックに仕上がったのだろうと思っていますが、おそらくそんなことを考えているのは多分私だけでしょうね。いいんです、誰の賛同が得られなくても!わっちはそう思ったんでやんす!


 まあそんなことは関係無しに、このアルバムは誰もが楽しめる仕上がりになっていると思います。どの曲も非常に美しいメロディを持っていますし、ひしひしとソウルが伝わってくる彼女の優しい歌声も「癒し系」と言うに相応しいです。多くの人の心を捉えたことが頷ける、まさに珠玉のアルバムと言って良いかと思います。私はいまだに大好きで、良く聞いているブツであります。


 ただ、突然人気者になってしまった者の常と言いますか、このアルバム以降の彼女の音楽は急速につまらなくなってしまいました。その原因は、突然人気者になってしまったせいで、自分を見失ってしまったことにあると思います。孤独に苦しんでいた根が暗い人が突然、「みんなありがとう、愛してる!」などと人類愛に目覚めてしまったかのような、前向きな歌を歌い始めた不自然さを感じます。前向きになることは大変に結構なことなのですが、それに音楽がついてきていません。音が軽くて表面的になってきて、全然深みが感じられなくなってしまいました。要は彼女の歌にソウルが感じられなくなってしまったのであります。前向きになるのはOKですから、それに相応しいソウルを感じさせる歌を歌って欲しいものであります。


あと、今回は試聴の貼り付けは致しません。アンジェラ・アキならどこでも聞けるかと思いますので。
【2008/08/23 23:54】 東アジア | トラックバック(0) | コメント(2) |
『宇多田ヒカル 「HEART STATION」』
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 全く期待していなかったのに、聞いてみたら意外なほど良い作品だったということがたまにあります。宇多田ヒカルのこの最新作は、まさにそんなアルバムですね。彼女のアルバムは、とてつもなく売れまくったデビュー作から全て聞いていますが、これまで一枚として満足のいく出来だったものはありませんでした。強いて言えばデビュー作が一番良かったかなあ、という感じですね。


 彼女の場合、デビュー盤が何故か異常なほど売れてしまった為に一躍時代の寵児の如く扱われ、メディアなんかでもちやほやされ過ぎたところが多々あったかと思います。だから色々なところから有形無形のプレッシャーをかけられることになってしまい、本来の自分を出せない状態が続いてしまったのではないかと推測します。そんなことを言っても、多分本人は否定するでしょうけど、私にはそのように感じられました。


 というのも、ここで聞ける宇多田は、かなり伸び伸びとしているように聞こえるからです。このアルバムに関しては、発売前から大々的に宣伝されるようなことは無かったようですし、タイ・アップ曲は相変わらず多いものの、無理して売れる曲を書いたという雰囲気はありません。ある程度自分の好きなように作ることが出来たのではないでしょうか?宇多田ヒカルという人は、本来は非常に根が暗い性格なのではないかと私は勝手に思っているのですが、このアルバムはその暗さが素直に出てきていると感じられます。ここに来てやっと正直な自分を出してきたから、自然な仕上がりになったんだと思います。


 このアルバムには誰もが「あれ?」と意外に思った曲「ぼくはくま」が入っていますが、この曲って彼女にとっては結構転機になったのかもしれませんね。「こんな曲を作ってもいいんだ!」と、肩の力が抜けたのかもしれません。それが良い方向に影響したような気がします。上野樹里と瑛太が長澤まさみを完全に食ってしまったドラマ「ラストフレンズ」の主題歌も入っていますし、CMなんかで耳にしていた曲も多々入っていますが、だからと言ってシングルの寄せ集めみたいな感じは全く無くて、暗くて地味なトーンでビシッと統一されています。これまでになく充実した、見事な作品に仕上がったと思います。宇多田ヒカル、流石に底力のある人ですね。


 離婚後の宇多田はいい感じ。基本的に幸せな状態が似合わない、可哀想な感じがする人ではあります。うーむ、ヒカルの夢は夜開く(意味不明)。


あと、今回は試聴の貼り付けは致しません。宇多田の歌なら色んなところで耳にすることがあるでしょうから。
【2008/07/22 22:41】 東アジア | トラックバック(0) | コメント(4) |
『LOVE PSYCHEDELICO 「THE GREATEST HITS」』
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 久し振りに近所のタ○ーレコードに寄ってみたら、ラヴ・サイケデリコが全米デビューしたとかいうことで、メリケン仕様というベスト盤が出ていましたので試聴してみました。この連中を聞くのは何だか久し振りでしたので、思わず取り上げたくなった次第であります。


 ラヴ・サイケデリコの音楽を初めて耳にしたのは7年ほど前のことだったでしょうか、一色紗英が出ている時計か何かのCMだったのですが、最初はシェリル・クロウの曲だと思っていました。しかしよく聞くと日本語が混ざっているので、「これは面妖な!」などと思いつつも、シェリル・クロウが日本のファンの為に日本語バージョンの歌を出したのだろうと思っていました。


 しかし調べてみると、これはシェリル・クロウではなくて、ラヴ・サイケデリコという日本のグループの「YOUR SONG」という歌だということが判明しました。それまで聞いたことがない斬新さを持った、なかなか面白いグループだと思いました。この連中については、メディアでは「洋楽テイスト溢れる音楽」みたいなフレーズで宣伝されていましたが、シェリル・クロウと間違えたぐらいですから、私も彼等の洋楽テイストを感じ取っていたわけです。


 そんなわけでこの連中に興味を持ち、ゲットしたブツがこの連中のデビュー作である01年の「グレイテスト・ヒッツ」というアルバムです。聞いてみると、なるほど、表面的には洋楽テイスト溢れる音楽に聞こえますね。しかしよくよく聞いてみると、洋楽とは全く異なるモノが聞こえてきます。洋楽の連中とは決定的に違うモノをこの連中は持っているのです。それが何かと言うと、いかにも日本的な侘び寂びの情緒であります。


 音楽的にはシェリル・クロウとかを思わせますし、英語と日本語がゴチャ混ぜになった歌詞もこれまでの日本のミュージシャン達と比べれば相当に異質です。それなのにこの音楽が放つ夕暮れ時の黄昏たような雰囲気と、そこから沁み出してくる切ないとか儚いとか表現できるいかにも日本的なしっとりした情緒は、一体何事なのでしょうか?どんなに洋楽的であっても、優れた日本のミュージシャンというものは必ず日本的な情緒を持っているものなんだなあと、妙に感心したものであります。


 本作はアルバムのタイトル通り、曲もベストと言えるものが揃っています。ポップで親しみやすいメロディ、ちょっと安っぽいガシャガシャとした演奏、キリっとして男前な女声ボーカル、どれを取っても文句をつけるところなどありません。完璧な一枚と言えるかと思います。


 デビュー作にして最高傑作をつくってしまったこの連中、その後は洋楽的なロックやブルースっぽい音を前面に出すようになってきて、日本的な情緒をどこかへ置き去りにしてしまったような音楽を展開し、どんどん面白くなくなっていきました。2枚目のアルバムを聞いて「全然ダメじゃん!」と感じ、その次のアルバムはほとんど聞いていません。しかし今回タ○レコでベスト盤を試聴したことで、他のアルバムも聞き直してみようかという気になった、ころんでございました。


あと、今回は試聴の貼り付けは致しません。ご存知の方は多いでしょうから、貼り付けるまでもないかな、と思いますので。

【2008/07/15 23:17】 東アジア | トラックバック(0) | コメント(2) |
『THE MAD CAPSULE MARKET’S 「PARK」』
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 日本のハード・ロックはメチャメチャにレベルが高い、ということを知ったのは、マッド・カプセル・マーケッツの94年作「PARK」を聞いた時でした。近年はデジ・ロックとかいう言葉で語られることが多いバンドですが、最初の頃はハード・ロックやらメタルやらヒップ・ホップやらポップスやらをゴチャ混ぜにした、激烈なミクスチャー・ハード・ロックを展開していました。本作はその時期の彼等の最高傑作であると、個人的には思っていますし、クール・アシッド・サッカーズの「いつまでもお元気で」と並ぶ、90年代に日本のミクスチャー・ハード・ロックが到達した金字塔であると思っています。


 このアルバムには、異様にテンションの高い凄まじい激演もあれば力を抜いた軽めの曲もあったりして、彼等の懐の深さを感じさせてくれます。そしてアルバム全体に一貫しているのが、親しみやすいポップさがあることです。激しいクセに人の耳を惹きつけるポップなフックを持っていますので、結局は何度も繰り返して聞いてしまうことになるんですよね〜。本当に繰り返し聞きまくりましたが、特に気合を入れたい時とか怒り爆発した時なんかは、周りの迷惑も顧みず大音量で聞いたものでした。


 このアルバムが出た時期、90年代初めから中頃にかけては、メリケンを中心にグランジ・ロックなるものが流行り、汚い格好をした連中が激烈な音を出すハード・ロックが盛り上がっていましたが、マッド・カプセル・マーケッツはその手の連中とは完全に一線を画していました。彼らは人の耳を惹きつけるポップな要素と極めて安定した演奏力を持つことで、仲間内だけで盛り上がっているような閉塞感があったグランジ・ロックの連中とは一味も二味も違う音楽性を獲得していましたので、グランジの限界を楽々超えてしまう大衆性があったように感じます。ですから世界的に見ても彼等の音楽は突出していたと思うのですが、こんなことを考えているのは私だけでしょうか?


 このアルバム以降はメンバーの脱退なんかも影響があったのか、デジ・ロック的な音に傾いていきましたので、私は急速にこの連中への興味を失ってしまいました。最近は活動を休止しているとかいう噂も聞きましたが、本当かどうかは知りません。ここ数年は名前を思い出すことさえほとんど無い連中でしたが、何故かふと思い出したもので、久し振りに聞いてみたところやはり良いものは良い、という感じでございました。


あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/07/09 21:56】 東アジア | トラックバック(0) | コメント(3) |
『ヤマジカズヒデ 「CRAWL」』
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 大学に入った頃に欧米のロックに辟易し、一気にワールド系の音楽にハマったのですが、世界中の色々な音楽を聞きまくってはいたものの、日本の音楽だけはあまり聞かないという状態が続きました。聞いていたのはちあきなおみと、その他歌謡曲やポップス数枚ぐらいでした。例えばルネ、川越美和、石川セリ、門あさ美とか。日本の音楽もちゃんと聞かなきゃいけないな〜とか思いながらも、欧米のロックだけを聞いていた頃に欧米ロックしか聞かない連中から刷り込まれてしまった「日本の音楽は低レベルで下らない」というウソから抜け出せず、どうしても後回しになっていました。


 考えてみれば、欧米のロックしか聞かない連中に、日本の音楽がわかるはずないですよね。聞いてないんですから。連中は(私も含む)日本の音楽なんて何も知らないクセに、ラジオとかテレビとかでちょろっと耳にしたことがある流行曲だけで「日本の音楽はダメ!」なんて決め付けていたわけですから、クルクルパーも甚だしいと思います。そんなことを言うと「いや、オレは真剣にちゃんと聞いたことがあるけどダメだったのだ!」などと反論するヤツもいますが、最初から「日本の音楽はダメ!」と決め付けた耳で聞いたって、良さがわかるはずがありません。耳を塞ぎながらでは、音楽はちゃんと聞こえませんから。


 そんな私を「やっぱりちゃんと日本の音楽を聞かなきゃいけないな〜」と思わせたブツが、雨上がり決死隊の蛍原に似ているヤマジカズヒデの、92年作「CROWL」でした。宅録風のひんやりしたサイケな感触の音が出てきた瞬間に、周りの空気感までも冷ややかな色に染め上げてしまう独特の音世界に、日本にこんな凄いヤツがいるのか!と驚いたものです。あまり体温を感じさせない歌声といい、全く意味がわからない歌詞といい、胸締め付けられるような切ないギターの音色といい、全てが控え目であまり自己主張を感じさせないクセに、聞く者を自分の世界に引きずり込んでしまう強烈な磁場を持っています。


 その後ヤマジはdipというサイケなバンドを組んで、独特の音世界を更にパワーアップしていますが、基本は一人で全てが完結してしまう人なだけに、あまりバンドという形態が合っているとは思えません。やっぱりこの人は、宅録風の音でセコセコと一人でやっている方が似合っているような気がしますね。


 先日、この人のソロ・アルバム3枚をひとまとめにしたボックス・セットが発売されましたが、ここらでまた控えめで自己主張を感じさせない強力なソロ・アルバムを出して欲しいものだと思います。


あと、この人がメインの映像ではないのですが、とりあえずコメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/07/08 22:54】 東アジア | トラックバック(0) | コメント(1) |
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