『CARTOLA 「人生は風車〜沈黙のバラ」』
gcartola001.jpg

 ブラジル・サンバ史上最高の名盤などと謳われることもあるブツ、それが自作自演サンバ歌手カルトーラの、このアルバムであります。元々「人生は風車」と「沈黙のバラ」という2枚のアルバムだったものを、1枚にまとめたお得盤です。個人的にカルトーラの曲で一番好きな、「人生は風車」が入っているのが嬉しいです。ベッチ・カルヴァーリョなんかも歌っていたこの曲、あまりに美しくていつ聞いても胸締め付けられる名曲であります。


 それにしてもカルトーラの曲って、美しいものばかりですね。ここで聞ける曲の数々は、どの曲も気高い品格に満ち溢れていているのに非常に親しみやすく、パーソナルな肌触りでありながらも一般大衆的な感覚も兼ね備えており、まさに大衆芸術の極致といった感じであります。この感覚はフォルクローレの巨匠、アタウアルパ・ユパンキと共通しているように思います。これらの美しい曲の数々は、カルトーラの瑞々しい声で歌われることによって、より一層の珠玉の輝きを放つのであります。もちろん他の歌手に歌われても素晴らしいわけですが、本人の歌の味わいには格別なものがあります。


 ・・・などと言ってはいますが、実はこのブツ、最初のうちは何が良いのかさっぱりわかりませんでした。このブツをゲットしたのはまだ学生の頃でしたが、今は亡き大阪心斎橋の芽瑠璃堂で3800円もの大枚をはたいて新品を買ったまでは良かったものの、聞いてみるとじいさんがあまり上手くない歌で淡々とサンバを歌っているだけという感じで、全然面白く感じませんでした。「チクショウ、金返せ!」ってな気分でしたね〜。当時は、ベッチ・カルヴァーリョみたいな派手で楽しいサンバは大好きでしたが、カルトーラの枯淡の境地みたいな世界は全然理解できなかったわけであります。その後ギリェルミ・ジ・ブリート、ネルソン・サルジェント、ウィルソン・モレイラなんかのサンバはすぐに大好きになったものの、カルトーラだけは全くダメでした。


 そして時は流れ、社会人になって数年経ったある日、何気なくこのブツを聞いてみると、何故かこれが良いのですよ。突然腑に落ちたという感じでしょうか。何故そうなったのか理由は全くわかりませんが、それ以来このアルバムはサンバのブツの中でも最も回数を聞いた作品になってしまいました。いつ聞いても最高のサンバが、ここにあります。


あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/06/20 23:03】 ラテン | トラックバック(0) | コメント(1) |
『GUILHERME DE BRITO 「FOLHAS SECAS」』
gguilermi001.jpg

 夏になると聞きたくなる音楽に、ブラジルのサンバがあります。サンバと言えば、リオのカーニバルみたいなお祭り騒ぎの賑やかな音楽という印象をお持ちの方が大多数のようですが、ホンモノのサンバはもっとしみじみとしていて味わい深いものであります。私が初めて買ったサンバのアルバムは、イヴォニ・ララというおばさんの「サンバの女主人」というブツでした。確か89年頃だったと思います。もう20年程前のことになりますね〜。ワールド系の音楽を聞き始めたばかりの頃ですが、優しくて地味溢れるサンバに、心癒されたものであります。


 それ以来サンバを色々と聞いてきましたが、一番回数を聞いているのがカルトーラの「人生は風車/沈黙のバラ」とギリェルミ・ジ・ブリートの「枯葉のサンバ」だと思います。どちらもおじいさんによる自作自演のサンバです。90年代に彼らのようなおじいさん達が作るサンバが「おじいサンバ」なんてネーミングで呼ばれて、ちょっとだけ話題になったことがありましたが、私も「おじいサンバ」は好きなものが多々あって、その粋で洒落ていて美しい音楽性に心底シビレたものでした。


 今回取り上げるギリェルミ・ジ・ブリートの「枯葉のサンバ」は90年発表のブツですが、物憂げで内省的な哀愁漂う音と歌が特徴であります。サンバは賑やかな音楽だと決め付けている人は、これを聞けば「こんなサンバもあるんだ!」とビックリすることでしょう。賑やかなものだけがサンバではないことは知っていたももの、私もこの淡く切ない響きを持ったサンバを聞いた時は結構驚きました。センチメンタルと言いますか、哀しい色やね〜と言いたくなるような文学青年的な佇まいは、非常に新鮮でありました。歌は上手いとは言えませんが、じいさんにしては若々しい朗々とした歌声で、実に味わい深い滋味溢れる歌を聞かせてくれます。こういう歌を聞くと、つくづく歌は上手いとか下手とかいう価値観だけでは決められないものだなあと思います。


 バックの演奏は、ショーロ界の俊英であるエンリッキ・カゼスのアレンジによるものですが、控えめでしっとりとしていながらも冴え渡っていて、実に芳醇なまろやかさに溢れています。この歌にはこのバックの音しかない!という感じの素晴らしい演奏を聞かせてくれますよ。


 最近はアジアの音楽にどっぷりと浸かっていますので、サンバを聞くことはほとんど無くなっていますが、聞いてみるとやはりしみじみと沁みてくる音楽だと感じます。久し振りにぶらりと立ち寄ったギリェルミじいさんの昔ながらの古ぼけた居酒屋は、昔と同じで全然気取ること無く、素朴でいい味の料理と酒を出してくれた、そんな感じの音楽ですね。


あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/06/18 22:42】 ラテン | トラックバック(0) | コメント(3) |
『MS.TRINITI 「RAGGA HOP」』
gtriniti001.jpg

 米国はLA在住のレゲエ歌手、トリニティに05年のアルバムです。ブック○フのセールで見つけたのですが、750円の500円引きで250円也。お買い得品であります。実はこのブツ、発売当初から知っていました。何しろこのジャケですからね〜。めっちゃ美人ですから、当然の如くチェックはしていたのですが、レゲエのブツを新譜で買う気はありませんでしたので、安くで中古に出るのを気長に待っていたわけであります。


 それにしてもこの人、ホントに美人ですね〜。スタイルもいいですし。父親がトリニダード人で母親がアメリカ人とのことですが、黒人のようでもあり白人のようでもあり、良い部分が絶妙にミックスされたようですね。元々は世界でもトップクラスのジュニアのテニス・プレーヤーだったというどうでもいい情報もありますが、スポーツで鍛え抜かれてきたからこそ、この抜群のスタイルがあるのでしょう。うーむ、素晴らしい。


 このルックスであれば、たとえ歌が下手であっても文句はありません。声が可愛らしければ十分OKなのでありますが、実際に聞いてみると、色気と意志の強さを兼ね備えた、なかなか力強い歌声ですね。もっと可愛い声なら完璧なんですけど、まあそこまで贅沢は言いますまい。歌も結構しっかりしていますし、これだけ歌えればよろしいのではないかと思います。


 音楽的にはレゲエのダンスホール・スタイルを中心にしてはいますが、レゲエやヒップホップやR&Bなんかをゴチャ混ぜにしたような音楽性を持っていますので、飽きずに楽しく聞くことができます。レゲエだけに傾倒するわけでもなく、ヒップホップやR&Bだけになってしまうわけでもないという姿勢が、非常によろしいかと思います。それに加えてバックの音作りも相当に勢いに溢れていますし、聞いていて非常に爽快ですね。個人的にはJ.C.ロッジとかダイアナ・キングよりも好きです。


 贅沢を言えば、音楽的にもっとミクスチャー度合いを強めてくれたらなあ、ということでしょうか。グナワ・ディフュージョンやマッシリア・サウンド・システムなんかと合体するとか、インド風味やルークトゥンなんかを取り入れるとかすればメチャクチャ面白くなるのに、などと妄想したりして・・・。今後、聞いた誰もがぶっ飛ぶような作品を作ってくれることを期待しています。


インナー写真。やっぱり美人。
gtriniti002.jpg


あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/04/24 21:40】 ラテン | トラックバック(0) | コメント(1) |
『LIRA PAUCINA 「CONJUNTO LIRA PAUCINA」』
glira001.jpg

 先日ブック○フに行ったところ、750円以上のCD全品500円引きというお得セールをやっていまして、普段ならバーゲンコーナーしか見ないところですが、思わず通常価格帯のコーナーも見てしまったところ、な、な、何と!ペルーの伝説的グループ、リラ・パウシーナのブツを発見してしまいました!値札1000円ですから、半額の500円になります。リラ・パウシーナのブツなんてこれまで見たことがありませんでしたので、速攻で手にしたのは言うまでもありません。ブレまくりの写真を使ったジャケであっても、そんなの関係ありません。全20曲入りの、超お得盤であります。


 で、リラ・パウシーナですが、私の大好きなフォルクローレ歌手でありチャランゴ奏者である、ハイメ・グァルディアが在籍していたグループとして有名であります(有名か?)。グァルディアのソロを集めたベスト盤は前から持っているのですが、チャランゴのソロと自身の歌だけで淡々と綴られる曲の味わいはまさに枯淡の境地と言いますか、透徹した純粋な美しさが溢れる1枚でありました。それに比べると、今回ゲットしたリラ・パウシーナの演奏はグループ演奏ということもあり、めくるめくスピード感と躍動感があって若々しい力強さに溢れています。そして、民衆の生活にしっかりと根ざしたことを感じさせながらも、全く泥臭さが無い高度に洗練された演奏を聞くことができます。


 それにしても、ここで聞けるリラ・パウシーナの演奏は本当に素晴らしい!手放しで大絶賛致します。これまでフォルクローレの最高峰はアタウアルパ・ユパンキとハイメ・グァルディアだと思っていましたが、そこにリラ・パウシーナも加わることになりました。と言うか、リラ・パウシーナにはユパンキやグァルディアには無いグループ演奏の勢いとか躍動感がありますので、こちらの方が気に入ってしまったりして。最高ですよ、このグループは!偶然にもこんなに素晴らしいグループのブツを手に入れることができて、何だか本当にありがたいです。


 リラ・パウシーナのブツは、10年ぐらい前にボンバ・レコードから国内発売されているはずですが、残念ながら持っていないんですよね〜。ボンバ盤とこのブツの内容がどの程度重なっているのかは定かではありませんが、ボンバ盤も是非聞いてみたくなりました。よ〜し、どこかで探し出してみせるぞ!などと決意を胸に抱く、ころんでございました。


あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/04/21 21:41】 ラテン | トラックバック(0) | コメント(5) |
『TIGER 「ME NAME TIGER」』
gtiger001.jpg


 実はレゲエも好きな、ころんでございます。一時期レゲエにめちゃくちゃハマったことがありまして、レゲエのブツはブック○フなんかでは特売品の常連さんですので、1枚100円〜250円程度で買いまくってたことがあります。ラヴァーズ・ロックとかラガマフィンとかを問わず、多分100枚以上は買ったと思います。まあ玉石混交の世界ではありますが、それなりに楽しめたブツが多かったです。 ただ、レゲエの世界はレーベルやプロデューサーの力が強くて、歌手の特色を生かした音作りがされていない場合も多いというのが、大きな問題点だと思いますが…。


 まあ、そんな中で非常に光っていると感じられるのが、個人的にレゲエ四天王だと思っている、アスワド、フレディ・マクレガー、ガーネット・シルク、タイガーであります。みんな独特の個性を持った、非常に優れた連中だと思います。今回取り上げるのは、タイガーの87年に発売された1枚目のアルバムです。


 タイガーの歌は、ラガマフィンとかDJとか言われる、言葉を矢継ぎ早に繰り出すラップにも似たしゃべくりスタイルですが、この人の特徴は、とにかくひょうきんで明るくてメチャメチャ楽しいというところでしょうか。聞く者を何としても楽しませるんだ!という気合に満ちた芸人根性が素晴らしい人であります。いいですね、こういう芸人根性溢れる人って。こういう人こそホンモノのプロのミュージシャンだと思います。どの曲を聞いても同じに聞こえる、なんて野暮なことは言いません。楽しければそれで良いのです。


 意外なことにこの人、ひょうきんな音楽とは裏腹に、素顔は非常に真面目で気難しく、かなり神経質らしいです。この人の大きな特徴として、レゲエの世界では当たり前のスラックネス(下ネタ)を決してやらないということがありますが、その辺りにも生真面目な部分が出ているようです。しかしこういう人の方が、一度スイッチが入った時のエネルギーの爆発力には凄いものがあるのでしょうね。素顔は気難しくても、音楽をやる時は楽しさが爆発する、良いことじゃないですか!


あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
【2008/04/04 23:38】 ラテン | トラックバック(0) | コメント(3) |
| ホーム | 次ページ