
数年前の話、とある中古盤屋でブツを物色していたところ、ある歌が聞こえてきました。ピアノのイントロで始まるキレイな声の女性歌手の曲で、葛藤とか諦めが入り混じった凄まじい情念が渦巻く歌でした。誰の何と言う曲なのかは全く知りませんでしたが、強烈に耳に焼き付いてしまいました。それからというものの、耳にこびりついた「ため息ひとつ」とか「ため息ふたつ」とかいう歌詞のその曲のことが、気になって仕方ありませんでした。一体誰の曲なのか調べようと、ネットでその歌詞を検索してみたのですが引っ掛かるものは無く、しばらくは謎のままでした。
それとは全然関係無く、ちょうど同じ頃に確かめざましテレビか何かで、柴田淳というシンガーソングライターがちょろっと紹介されていたことがありました。たまたまそのことを思い出して「柴田淳」でネットを検索してみると、「ため息」という曲を出していることを知りました。ここでピンと閃きました。もしかしたら「ため息ひとつ」とか「ため息ふたつ」とかいう歌詞の曲は柴田淳の「ため息」という曲ではないのかと。
そこですぐにレンタル屋に行き、「ため息」が収録されたアルバムを借りました。そして「ため息」と題された曲を再生すると、それは思った通りにあの「ため息ひとつ」「ため息ふたつ」という歌詞の曲でした。やっと出会えた、という感じで非常に嬉しかったですね〜。その「ため息」が収録されたブツが、「ため息」と題された03年の彼女のセカンド・アルバムです。
このアルバム、「ため息」以外にも素晴らしい曲が満載であります。いかにも日本的な湿っぽさを持った切ないメロディがズラリと揃っています。そんな中に遊び心を感じさせる曲とか本人演奏の短いピアノ・ソロなんかも挟み込まれていたりして、飽きさせない作りになっています。一人で静かな夜を過ごしたい時にはピッタリとハマるアルバムですね。本当に素晴らしい作品だと思います。一応彼女のアルバムは全て聞いていますが、間違いなく本作が彼女の現在の所の最高傑作だと言っていいかと思います。最近出た新作は、まだ聞いてないんですけどね。
ただこの人、音楽的にはあまり引き出しが多い人ではないようで、これ以降はどれを聞いても似たような曲ばかりという具合になってしまうのですが、変化が少ない分安心して聞けるということも言えるわけであります。この人の場合はそれでいいんだと私は思っています。変わらない方が良いという人はやはりいるわけでありまして、例えばタイのルークトゥン歌手フォン・タナスーントンなんかもそんな人ですよね?柴田淳もフォン姫と同じタイプの歌手だと思っております(同じか?)。
何にせよ、このアルバムが珠玉の名盤であるという事実に変わりはありません。いつでもすぐに手に取って再生できる場所に置いてある、私にとってはそういうアルバムです。聞けばその素晴らしさに「ため息」が出るブツなのであります。
あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。