
オリンピックを見ていたら男子100メートル走にリチャード・トンプソンという選手が出ていて、一瞬「おや?」と思ってしまいました。ちなみにこの選手、銀メダルを獲りましたね。音楽ファンに取ってリチャード・トンプソンと言えば、元フェアポート・コンヴェンションのギタリストであり、数々の素晴らしいソロ・アルバムを出している英国のおやじミュージシャンのことであります。
トンプソンおやじの代表作は何か?と言われれば、人それぞれで意見は多々あるかと思いますが、私は88年の「アムニージア」を挙げたいですね。解説でピーター・バラカン氏が「全体的に怒っているアルバム」とおっしゃっていますが、どちらかと言えば暗くて少々ひねくれたイメージがあるトンプソンおやじの、ストレートで激しい一面を聞くことができる傑作だと思います。
英国フォーク的な味わいをしっかりと残しつつ大々的にロックっぽくなった曲は非常にダイナミックですし、超絶的に上手いギターの音色はますます冴え渡っています。そして、怒りをブチまける歌にも相当な迫力があります。ハゲのせいでおやじのイメージが先行している人ですが、全体的に若々しいパワーが漲っているアルバムに仕上がっています。うーむ、素晴らしい!トンプソンおやじの曲の中で一番好きなのは、86年の「デアリング・アドヴェンチャーズ」に収録された「VALERIE」なのですが、アルバムはやっぱり「アムニージア」で決まり!ですね。
ワタクシ、実はトンプソンおやじのライヴを見たことがあります。大阪のクラブ・クアトロでの来日公演で、当初はダニー・トンプソンと「ダブル・トンプソン」でのライヴの予定だったのですが、蓋を開けてみるとアコースティック・ギターを一本抱えたリチャード・トンプソンだけの、完全ソロ・ライヴでした。それにもかかわらず約二時間半のライヴ、全く飽きることがありませんでした。とにかくメチャクチャ上手いんですよ、このおやじ。
何をどうやって弾いているのかさっぱりわからない超絶バカテク・ギターだけでも感動モノでしたし、当然の如く歌も曲も本当に素晴らしいものでした。しかし何と言っても、「お客さんを何が何でも楽しませるんだ!」という芸人根性の鑑のような気合がビシバシに伝わってきたことに、心底シビレましたね。客を盛り上げるのが、もの凄く上手いんですよね〜。この人、ミュージシャンだの何だの言う前に、「わしゃ芸人なんじゃ!」という自覚がしっかりとある人だと思いますね。だから還暦を迎えるほどの年齢になった現在でも、全くパワーが衰えることが無いのでしょう。
あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。