
コテコテのルークトゥン専門レーベルNOPPORNの若手のエース、オーン・オラディの新作です。これで4枚目ですね。この娘、歌は非常に上手いのですが、前作はまるで機械で処理したかのような人間離れしたコブシ回しがあまりに不自然に聞こえて、かなりドン引きしました。しかし今回はその辺が改善され、人間離れしたコブシ回しは控え目になって、歌の表情が実に豊かになってきました。そうなってくると元々歌は天下一品ですから、なかなか芳醇な味わいが出てくるんですよね~。これは嬉しい変化であります。
しかし、残念ながらと言いますか、曲やバックの音はいかにもコテコテ・ルークトゥンのNOPPORNらしい作りなので、やっぱりイマイチ物足りない感じは否めません。オーンの歌は実に素晴らしく、まるでマレーシアのノラニザ・イドリスの伝統歌謡路線のような祝祭感覚が感じられる曲もあり、そのような曲はオーン・オラディの面目躍如といったところなのですが、それがアルバム全体までには感じられないというのが非常に残念です。まあ、とりあえずは歌が良くなってきたことは高く評価できると思います。
それとこの娘、ルックスも良くなってきましたね。前は化け猫みたいな不気味な顔立ちだったのですが、今回のジャケはかなり垢抜けて綺麗になってきています。歌が良くなってルックスも綺麗になって、充実の時を迎えつつあるといった感じでしょうか。ちょっと惚れてしまいました…なんてことを言うと、我が愛しのクラテーちゃんとドリーム萌ちゃんと我が娘のアーチャリヤーに「この浮気者っ!」とお仕置きのトリプル・ローキックを食らわされそうです。
という妄想はさて置きこのアルバム、聞くほどに複雑な気分になってきますね。コテコテのルークトゥンだけに、噛むほどに味がでてくるスルメ盤といった感じはあるのですが、ここまでルークトゥンという枠にとらわれる必要があるのか?という気がしてきます。最近のNOPORNの作品の中では相当に充実した盤だと言えると思いますけど…。同じレーベルのピム・ヤーダーとか最近絶不調のメンポー・チョンティチャーにも同じことを感じるのですが、このレーベルでルークトゥンの基礎を確立したら、R.SIAMやグラミーなんかのようなもっと歌手の特性を生かしてくれるレーベルに移籍した方が良いのでは?なんてことを思ってしまうのでやんす。まあ、タイの人にとってはこれでOKなんでしょうけどね~。
06年の3枚目。化け猫みたいな顔。

05年の2枚目。やっぱり化け猫みたい。

04年のデビュー作。最初から化け猫。

あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。