
ベトナムは非常に独特の音楽を持つ国で、一聴すればすぐにそれと判別できる音楽性を持っていますよね。しかし情報が少ないこともあって、音楽に関してはわからないことが多い国であります。2年ほど前にホーチミンに行ったのですが、街で流れている音楽は欧米のポップスとかジャズっぽいインストばかりで、地元の歌手の曲は殆ど耳にすることができませんでした。その時はベトナムの歌手と言えば、在米ベトナム人歌手のニュー・クインやゴック・ハーぐらいしか知りませんでしたし、街の中で地元の流行の歌手を知ることもできなかったので、とりあえず彼女達の作品を探していたのですが、何故か在米歌手のブツは全然置いてなくて、結局は何の知識も無いままジャケ買いするしかない状況になってしまいました。というわけで地元の書店でCDを3枚だけ購入したのですが、そのうちの一枚がこのヴァン・カインの、多分02年か03年頃の作品です。
このアルバムを買ったのは、美人だからというのが一番大きいですが、美人がアオザイに笠をかぶったジャケなんて、いかにもベトナムっぽい音楽をやっていそうじゃないですか。実際に聞いてみると、キーボードや打ち込みの音なんかも使用してはいますが、想像していたような民謡っぽいポップスで、大当たりのブツでした。多少音作りの野暮ったい曲はありますが、伝統楽器の響きは心地良いですし、独特の音階を使った悠久の時の流れを感じさせるゆったりしたメロディがとても美しいです。そして何よりも聞きものは、ヴァン・カインの歌です。とにかくこの人、メチャクチャ上手いです。ちょっと低めの落ち着いた歌声はしっとりとしたアジア的な情感を醸し出していますし、ややこしいメロディをサラリと朝飯前のごとく歌いこなしてしまう歌唱力も相当なものですね。サウンド・プロダクションがしっかりとしていれば、テレサ・テン並みの名盤を作ることができる逸材ではないかと思います。
ちなみにこの人、私の中では、タイのフォン・タナスーントンと並んで、アジアの癒し系熟女として位置付けられています。熟女好きにはお薦めの一枚だと思いますよ。
ところで本作ですが、フエ地方の民歌を歌ったもののようです。「フエ地方の民歌って何だ?」と言われても私にはわかりませんので、どなたかご存知の方がいらっしゃったらお教え下さい。本作のジャケには「VOL.1」と書いてあるのですが、ホーチミンの書店には「VOL.2」も置いてありましたので、今更ながらにそれを買わなかったことを後悔しています。調べてみると、現在は「VOL.3」まで出ているようですので、次にヴェトナムに行くことがあれば、ヴァン・カインのブツは全てゲットする勢いで行きたいと思います。