
昨日、タンゴのネタを書いている時に思い出しました。「そう言えばタンゴをパクったヘンな曲をやってる連中がいたな」と。それがイギリスのヘンなバンド、スラップ・ハッピーのこのブツであります。ちなみにタンゴをパクった曲は、このブツの1曲目「カサブランカ・ムーン」だけです。他にはございません。
で、この「カサブランカ・ムーン」という曲ですが、タンゴの持つ退廃的で後ろ向きな雰囲気をものの見事にとらえていると思います。演奏はロックそのものなのですが、本物のタンゴ以上にタンゴらしいという、非常に不思議な曲に仕上がっていると思います。アストル・ピアソラみたいなわけのわからない実験的タンゴみたいなものではなくて、この連中がやってみせたような発展をタンゴが遂げたなら、今でもタンゴは刺激的で面白い音楽であり続けたのではないかと思ったりして。まあ今更言ってもどうしようもないことなんですけどね〜。
以上、終わり…と言いたいところですが、非常に珍しくイギリスのロックなんぞを取り上げてしまったので(取り上げる気は無かったのですが)、ついでにこのアルバムについて書き散らしておくことにしましょう。
スラップ・ハッピーなるバンド、ダグマー・クラウゼ、ピーター・プレグヴァド、アンソニー・ムーアという、ソロではパッとしないヘンな三人が集まったバンドですが、この三人が揃うと不思議なことにとても面白い音楽が出来上がるんですよね。特にこの「カサブランカ・ムーン」と題された74年のアルバムは、色々な音楽の要素を取り入れたユーモア感覚溢れる逸品に仕上がっています。ほとんど冗談音楽の様相を呈していると言ってもいいかもしれません。大真面目に面白いことをやっているような雰囲気がよろしいかと思います。
ところでこのアルバム、73年に全然別のアレンジで録音されたのですが、レコ会社から発売拒否された為に改めて再レコーディングされたブツであるという話は有名ですよね。73年にお蔵入りした作品は80年に発表され、90年に曲を追加してCD化されました。タイトルは「CASABALNCA MOON」をひっくり返して「ACNALBASAC NOOM」となっています。真面目なんだかふざけてるのかよくわからない、彼等らしいユーモアと言えるかもしれませんね。マニアには「アクナルバサック・ヌーム」の方が評価が高いようですが、アヴァンギャルドなロック寄りの音ですので、個人的には「カサブランカ・ムーン」の雑多な音楽性をブチ込んだユーモア感覚溢れる楽しさの方が好きです。
こちらが「ACNALBASAC NOOM」。ヘンなジャケ。
