2010’12.01・Wed
久し振りのヨーロッパのブツでございます。ポルトガルのファド歌手ジョアナ・アメンドエイラの、06年のアルバムです。邦題は「思いあふれて」でございます。珍しくブック○フではなくて、福岡の老舗中古盤屋田○商店でのゲットであります。このブツにはライス・レコード代表の田中勝則氏による思い入れタップリの解説が付いていますが、ハッキリ言って長過ぎて全く読む気がしません…。元音楽評論家の人だけに、的確な解説を書いているんでしょうけど。
というどうでもいい話はさて置き、ジョアナ・アメンドエイラであります。わっちはこの人の04年の日本デビュー盤も05年の「ライヴ・イン・リスボン」も持っていますが、どちらもあまり頻繁に聞くことはありませんでした。何故なら、ファドそのものに対する苦手意識があるからであります。元々わっちは声を張り上げて歌い上げるタイプの歌が好きではなく、典型的なそのタイプのアマリア・ロドリゲスを範とするジョアナ・アメンドエイラの歌唱も、例外無くわっちの苦手なタイプのものであります。ですから当然の如く、わっちがジョアナさんのブツを頻繁に聞くはずはありません。え、じゃあ何故この人のブツを買ったのかって?気まぐれでやんすよ、気・ま・ぐ・れ♪あ、どうでもいいんですけど、このブログを始める時に「気まぐれ 音楽ロード」という名前を付けようと思っていたことは、わっち意外に誰も知りません…。
気まぐれでゲットした本作でございますが、どうせまた声張り上げ系の苦手な歌なんだろうな~なんて思いながら再生致しました。すると…おや?今回は何だか随分と歌の表情が違いますね。声を張り上げそうで張り上げない、肩の力を抜いた控え目な歌唱になっているように聞こえます。そうなってくると、元々歌はめっさ上手い人ですから、控え目な中から溢れてくるサウダージと言いますか、歌に込めた情感がヒシヒシと伝わってくるではないですか!ええっ、ジョアナさんってこんなに素晴らしい歌手だったっけ?ワタスは驚いてしまいますた。
このブツ、ファドと言えば声張り上げ系の、どの曲も同じに聞こえる一本調子の退屈な音楽、というわっちの固定観念を見事に裏切ってくれました。正直言ってファドのブツの中では、アマリア・ロドリゲスの「コン・ケ・ヴォス」というファドから逸脱したようなアルバムが一番好きだったわっちでございますが、100%ファドでありながらここまでシビレさせてくれるブツを作り上げてくるとは、やるじゃないですか、ジョアナさん!このブツのオビに「ジョアナがついに新世代ファドの最高傑作を作ってくれた!」なんて書いてありますが、まさにその言葉通りの作品だと思います。
スタイル的には極めて伝統的な編成でありつつも、活き活きとして表情豊かなジョアナさんの歌と、キラキラと宝石のように輝くバックの弦楽器の音が織り成す見事なファドは、これまで聞いたことが無い高みへ到達していると感じられます。素晴らしい!アジアの音楽にどっぷりと浸かっているわっちでございますが、たまにはヨーロッパの音楽も聞いた方がいいな~なんて実感した、今日この頃でやんす。
あと、コメント欄に試聴を貼り付けておきますので、よろしければお試しを。
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