
ジャケの見事なバラフォンが目を惹きつける、マリの音楽家ネバ・ソロの2000年のアルバムです。個人的に元々木琴という楽器は好きなのですが、ここで聞くことができるバラフォンの音色は格別ですね。ジャケで見られるように、木製の鍵盤の下には共鳴用の瓢箪が取り付けてあるのですが、その瓢箪には蜘蛛の巣とかナイロンを貼り付けて共振するようにしてあるそうです。だから普通の木琴には無いビリビリというような濁った音が聞こえるわけですね。この濁った音が物凄く心地良いと感じるのは、私だけではないはずです。
一般的には雑音成分が無い澄んだ音というのが美しい音だと認識されていますが、それって本当なんでしょうか?アコースティック・ギターの澄んだ音は確かに美しいですが、エレキ・ギターの濁った音の方が興奮するという人も少なくないはずです。学校の音楽の時間に使った木琴とか鉄琴は、雑音成分の無い澄んだ音を出していましたが、確かにそれはそれで美しい音だと思います。しかしネバ・ソロが奏でる木琴の、雑音成分豊かな濁った音は素晴らしく美しいと感じられないでしょうか?
日本に住んでいると、何故だか知らず知らずのうちに澄んだ音が美しいのだという固定観念が出来上がっているように思いますが、もちろんそれは正しいんでしょうけど、濁った音だって美しいんだという感覚も正しいんだと思います。澄んだ音は美しい音で濁った音は汚い音だ、というような固定観念は、少なくとも音楽を聞く際には捨ててしまいたいものだと思います。
まあそんな固定観念を捨てる・捨てないに関わらず、ネバ・ソロの音楽は本当に美しくて素晴らしいです。めくるめく木琴の音が織り成す陶酔感は、他の何物にも替え難いですね。表面的には音の洪水と言ってもいいぐらいに音が鳴りまくっているのですが、感覚的には静かに瞑想しているような気分になるという、非常に不思議な音楽であります。まさに極上のトリップ・ミュージックと言っていいのではないでしょうか?
このブツ、個人的にはこれまで聞いてきたアフリカ音楽のブツの中でも、最も好きなアルバムの一つです。聞いていると心の中の波風が無くなって平和になっていくような気がしますし、単純に超クールでカッコいい音楽だと思います。まあ、そんなことを感じるのはもしかしたら私だけかもしれませんが、別にそれでもいいんです。私にとっては最高のアフリカ音楽ですから。