
ベトナムの歌手、タイン・タオの06年のアルバムです。ジャケを見る限りでは、いかにもベトナム風の民歌を明るく可愛らしく歌ってくれそうな感じに見えますね。インナーの写真を見ても、ベトナムの民族楽器なんかを持ったりしていて、非常に期待が持てます。なんだか「当たり」の雰囲気が見るからに漂ってきますね。当然の如くジャケ買いのブツであります。
どんなに清純で可愛らしい歌を聞かせてくれるのかと思い、ワクワクしながら再生してみると…ありゃりゃ、何じゃこりゃ?どこからどう聞いてもベトナム歌謡なのですが、メチャメチャおかしな音が飛び出してきたぞ?テクノとかポップスとかハードロッキンなギターとかラップとか中華ポップス風とかメリケン・カントリー風とか、とにかく色々な要素をぶち込んだメチャメチャ楽しい音作りではないですか!
取り上げている曲は、元々はしっとりとしたアジアンな情緒溢れる民歌のはずなのですが、過激なミクスチャー感覚によって、ユーモア感覚溢れるとんでもなく素晴らしい仕上がりになっています。これはミクスチャー民歌とでも言いましょうか?しかも実験的でありながら頭でっかちな所など全く感じられない、実に自然な作りであります。しっとり民歌がこんな風に変わり果ててしまうなんて、思い付きもしませんでした。うーむ、ベトナムにもこんな音楽を作る人がいたんですね。この融通無碍なる感覚、東南アジアならではのパワーが感じられます。恐るべし!
タイン・タオさんの歌もちょっと人を食ったような感じがあって、この過激で楽しい音作りにピッタリとハマっています。ちょいとハスキーな、実に魅力的な歌声を持つ人であります。ユーモア感覚が全面に出てきてはいますが、じっくりと聞けばいかにもアジア的なしっとりした情緒も感じられますし、一筋縄ではいきませんね〜。
これまでベトナム歌謡を聞いて、歌の素晴らしさにシビレることは多々あっても、サウンド・プロダクションにヤラれてしまうことはありませんでした。しかしこのアルバムについては、もう感服する以外にどうしようもありません。ベトナム・ポップス史にその名を刻み込む大傑作!なんて言うのは大袈裟でしょうか?
民族楽器とタイン・タオ

ちょっとおすましのタイン・タオ

笛も吹くわよ!

あと、残念ながら今回は試聴を見つけることができませんでしたので、試聴の貼り付けは無しです。どなたか発見された方がいらっしゃったら、是非コメント欄に貼り付けて下さい。