『KANTE MANFILA 「BACK TO FARABANAH」』
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 ギニアのギタリスト、カンテ・マンフィーラの、98年に発表されたカンカン・ブルース・シリーズ第3弾です。このシリーズ、全て素晴らしい出来で大好きなんです。アコギの響きを生かした哀愁のアフリカ音楽なのですが、ブルースと銘打ってもメリケンのブルースとは違って、ドロドロとした感情が渦巻く嘆き節みたいな感じでは全く無く、もっと健康的で大らかな音楽です。心静かに瞑想しているような曲もあれば、踊りだしたくなるような曲もありますが、どの曲を聞いても人間の生身の温もりを感じますね。限りなく優しくて豊かな音楽だと思います。聞いていると、星空の下でゆったりと寛いでいるような気分になりますね。


 基本はアコースティック・ギターの演奏と素朴な歌とコーラスです。曲によってはベースやバラフォンも入りますが、それは付け足し程度です。アフリカ音楽と言うと、太鼓がドンドコ鳴りまくっていてリズムばっかり強調されているからイヤだ!という人もいらっしゃるようですが、カンテ・マンフィーラの音楽はそういう人であってもすんなり受け入れることができると思います。アフリカ・アレルギーの方は是非お試しあれ。


 それにしても、こんなにも簡素な演奏が醸し出ニュアンスの何と豊かなことでしょう。特別に技巧的なわけでもなく歌が上手いわけでもないのに、何がこんなに人の心を打つのでしょうか?おそらく、ひたすら心を込めて演奏をし、歌を歌っているだけなのでしょうね。ただそれだけなのでしょうが、それが素晴らしいのであります。こういう音楽を聞くと、音楽というものは形はどうであれ、演奏者の心が重要なんだということを実感させられます。心洗われる音楽とは、こういう音楽のことを言うのでしょう。


 秋の夜長には(もう冬ですが)、アイリッシュやスコティッシュのフォーク〜トラッド系の音楽が聞きたくなりますが、カンテ・マンフィーラの本作みたいな音楽も聞きたくなるんですよね。地域や音楽性は違えど、両者に共通しているのは「哀愁」という感覚です。などと言うと、アフリカに哀愁漂う音楽があるなんて信じられない、という人もいるのではないかと思います。いまだにアフリカの音楽と言うと、原住民が槍と盾を持って太鼓に合わせてウホウホ言って飛び跳ねているようなイメージを持った人が結構いますからね。


 まあ日本のマスコミは英米と、たまに韓国の男性アイドルの音楽ネタぐらいしか外国の音楽を取り上げませんから、アフリカの音楽なんてほとんど知らないという人が多いのは仕方ないことなのかもしれません。しかしいまだに「原住民ウホウホ!」のイメージというのはあまりに勿体無いですし、それよりもアフリカの人達にあまりに失礼なのではないかと思う、ころんなのでございます。
【2007/11/22 21:39】 アフリカ | トラックバック(0) | コメント(6) |
『DOLLAR BRAND 「AFRICAN SUN」』
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 このブログ、アジアの音楽を中心に取り上げていますが、たまにはアフリカの音楽もネタにしてみようかと思います。今回はこちらのブツで。


 普段からジャズには殆ど縁の無いころんではありますが、ダラー・ブランドの70年代の南アフリカ録音の作品群はどれも大好きです。ダラー・ブランドと言えばジャズの文脈で語られる人ではありますが、彼の故国である南アフリカでの録音だけはジャズ云々は全く関係無しに、アフリカン・ポップスのファンにも素直に楽しめる作品だと思います。


 ここで聞かれるブランドの音楽は、ジャズと言うよりは南アフリカのポップスと言ってもいいと思います。もちろんジャズ的な演奏ではあるのですが、マハラティーニみたいなズールー・ジャイヴ的なノリや、哀愁のピアノ芸人・ファッツ・ウォーラーに共通する感覚なんかもあるように思います。気取ったり飾ったりしない、素の部分が出ている演奏と言えばいいでしょうか。ゆったりとした大らかなノリがあって、アフリカの雄大な景色と活気溢れる人々の躍動が感じられる、そんな演奏だと思います。エンヤ・レーベルなんかに残している諸作とは明らかに違った演奏ですね。


 このような素の自分をさらけ出したのは、やはり故郷の南アフリカでの録音だった為に、ヨソ行きでいる必要が無かったからでしょう。そしてブランドのアフリカ的体質を更に引き出しているのが、周りのセッション・マン達ですね。特にサックス陣の素晴らしさは特筆モノです。豪快で図太い響きを持つ、アフリカ最高のサックス奏者と言われるキッピー・ムケツィのアルト・サックスや、限りない優しさが感じられるバジル・クツェーのテナー・サックスは、本当に素晴らしいです。個人的にはオルケストル・ヴェヴェのヴェルキスのサックス(こちらも最高!)よりも好きかもしれません。名手達に囲まれたこの南アフリカでのセッション、悪いものになろうはずがありません。全曲素晴らしいのですが、特に1曲目のタイトル曲の、アフリカの大地にエネルギーが満ち溢れる太陽が昇ってくるかのような演奏は、まさに筆舌に尽くし難いものがあります。


このアルバム、89年に発売されたブランドの南アフリカ録音4枚シリーズのうちの第一弾ですが、他の3枚も当然のことながら素晴らしい出来ですので、どうせ聞くなら4枚全て揃えたいところですね。ただこれら4枚は現在は廃盤になっているはずですので入手は困難かもしれませんが、アフリカン・ポップスのファンにもジャズ・ファンにも是非聞いていただきたい名盤群なのであります。4枚とも全て素晴らしい演奏が聞けますが、個人的には第一弾の「アフリカン・サン」と、長い曲を集めた第三弾の「ブルース・フォー・ア・ヒップ・キング」が特に好きです。


第二弾。「TINTINYANA」
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第三弾。「BLUES FOR A HIP KING」
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第四弾。「VOICE OF AFRICA」
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【2007/11/01 21:46】 アフリカ | トラックバック(0) | コメント(6) |
『KING SUNNY ADE AND HIS AFRIDCAN BEATS 「LIVE LIVE JUJU」』
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 その昔、高校生の頃に聞いている音楽と言えば英米の白人のロックやポップスばかりで、他の音楽は全く知りませんでした。知りもしないクセに日本の音楽を見下していたりブラック・ミュージックを嫌っていたりと、今考えてみれば偏見だらけの本当にとんでもない大バカだったと思います。


 しかし大学に入って数ヶ月もした頃、何故か突然英米のロックを聞くのが面白くなくなってしまいました。ロックに行き詰まりを感じ始めたのです。もう音楽を聞くのをやめようかなどとも思いましたが、音楽は心の糧、そう簡単に切り捨てることなんてできません。そこで気付いたのが「音楽ってロックだけじゃないな」ということでした。「そうだ、ロックじゃない音楽を聞いてみよう」と思い挑戦してみようと考えたのが、当時ミュージック・マガジンで評価の高かった本アルバムでした。サニー・アデの名前は高校生の頃から知っていましたが、当時はもちろん聞いたことも無く、聞こうと思ったこともありませんでした。しかし音楽を聞くのをやめるぐらいなら、とりあえずMM誌で評価の高いサニー・アデにすがってみようと思い、3200円もの大枚はたいて本作を買ったのであります。


 早速家に帰り、期待と不安が入り混じった複雑な心境でこのCDを再生しました。するとそこから出てきた音は、ひたすら太鼓がドンドコ鳴っているワケのわからない音楽でした。「なんじゃこりゃ!」と大ショックを受けました。サニー・アデって、こんなに下らない音楽だったのかと。しかしそこで考え直しました。「ちくしょう!良さがわかるまで聞き続けてやる!」殆どヤケクソの執念みたいなものです。それからというものの、来る日も来る日もこのアルバムを聞き続けました。しかし、聞いてはガッカリし、聞いてはヘコむという繰り返しの日々が続きました。


 そして3ヶ月程経ったある日、いつもの通りこのアルバムを聞き始めました。いつもの通りのイントロに続いていつもの通りの太鼓が鳴り始めました。するとどうでしょう、突然この音楽がスコーンと耳に入ってきたのです。これまでと全然聞こえ方が違うのです。「なんかいいじゃん?」と素直に感じ始めたのです。ここから私のワールド・ミュージックのリスナーとしての第一歩が始まったわけです。それから怒涛の如く世界中の音楽の奥深い世界へ旅立って行き、現在に至るわけであります。そういうわけで、サニー・アデは、私のワールド・ミュージック入門の先生にあたるのです。


 とりあえずサニー・アデのこのアルバムから学んだ一番のことは、現時点で理解できない音楽であっても、聞き続ければ良さがわかる可能性が十分にあるということです。その意味で私にとって音楽は、基本的には「好きな音楽か、今は好きではないけれども好きになるかもしれない音楽」だけです。だからこそ、現在でも無節操なほどに色々な音楽を聞き続けているわけであります。きっと楽しいことが見つかるぞ、と思いながら。
【2007/10/12 21:50】 アフリカ | トラックバック(0) | コメント(4) |
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