
このブログ、アジアの音楽を中心に取り上げていますが、たまにはアフリカの音楽もネタにしてみようかと思います。今回はこちらのブツで。
普段からジャズには殆ど縁の無いころんではありますが、ダラー・ブランドの70年代の南アフリカ録音の作品群はどれも大好きです。ダラー・ブランドと言えばジャズの文脈で語られる人ではありますが、彼の故国である南アフリカでの録音だけはジャズ云々は全く関係無しに、アフリカン・ポップスのファンにも素直に楽しめる作品だと思います。
ここで聞かれるブランドの音楽は、ジャズと言うよりは南アフリカのポップスと言ってもいいと思います。もちろんジャズ的な演奏ではあるのですが、マハラティーニみたいなズールー・ジャイヴ的なノリや、哀愁のピアノ芸人・ファッツ・ウォーラーに共通する感覚なんかもあるように思います。気取ったり飾ったりしない、素の部分が出ている演奏と言えばいいでしょうか。ゆったりとした大らかなノリがあって、アフリカの雄大な景色と活気溢れる人々の躍動が感じられる、そんな演奏だと思います。エンヤ・レーベルなんかに残している諸作とは明らかに違った演奏ですね。
このような素の自分をさらけ出したのは、やはり故郷の南アフリカでの録音だった為に、ヨソ行きでいる必要が無かったからでしょう。そしてブランドのアフリカ的体質を更に引き出しているのが、周りのセッション・マン達ですね。特にサックス陣の素晴らしさは特筆モノです。豪快で図太い響きを持つ、アフリカ最高のサックス奏者と言われるキッピー・ムケツィのアルト・サックスや、限りない優しさが感じられるバジル・クツェーのテナー・サックスは、本当に素晴らしいです。個人的にはオルケストル・ヴェヴェのヴェルキスのサックス(こちらも最高!)よりも好きかもしれません。名手達に囲まれたこの南アフリカでのセッション、悪いものになろうはずがありません。全曲素晴らしいのですが、特に1曲目のタイトル曲の、アフリカの大地にエネルギーが満ち溢れる太陽が昇ってくるかのような演奏は、まさに筆舌に尽くし難いものがあります。
このアルバム、89年に発売されたブランドの南アフリカ録音4枚シリーズのうちの第一弾ですが、他の3枚も当然のことながら素晴らしい出来ですので、どうせ聞くなら4枚全て揃えたいところですね。ただこれら4枚は現在は廃盤になっているはずですので入手は困難かもしれませんが、アフリカン・ポップスのファンにもジャズ・ファンにも是非聞いていただきたい名盤群なのであります。4枚とも全て素晴らしい演奏が聞けますが、個人的には第一弾の「アフリカン・サン」と、長い曲を集めた第三弾の「ブルース・フォー・ア・ヒップ・キング」が特に好きです。
第二弾。「TINTINYANA」

第三弾。「BLUES FOR A HIP KING」

第四弾。「VOICE OF AFRICA」
